慶應義塾医学振興基金


第3回(1998年)受賞者

Moses Judah Folkman 博士

Moses Judah Folkman 博士

ハーバード大学医学部小児外科学教室
ボストン小児病院外科教授
1933年2月24日

授賞研究テーマ

「血管新生の分子生物学的研究」

細胞が増殖するのに際し、自ら血管新生因子を分泌してその周囲に血管を発達させ、同時に血管抑制因子も分泌して他の細胞の増殖を押さえることがある。これはがん細胞などに著しい。Folkman博士は長年にわたり血管新生の基礎研究を続け、単一の内皮細胞の培養から管状血管様構造を得ることに成功し、続いて最初に確立された血管新生因子であるbasic fibroblast growth factor (bFGF)の分離同定、さらには血管新生抑制因子(angiostatin等)の存在を予見し、これらを発見するなど、血管新生に関する近年の生物学、分子生物学に多大な貢献をした。最近では、これらの業績に基づく臨床応用を開始し、その成果が期待されている。

略歴

1953年
オハイオ州立大学でB.A.取得
1957年
ハーバード大学医学部でM.D.取得

御子柴 克彦 博士

御子柴 克彦 博士

東京大学医科学研究所化学研究部教授
理化学研究所脳科学総合研究センター
発生・分化研究グループディレクター
1945年3月3日生まれ

授賞研究テーマ

「哺乳類脳神経系の発生と分化の分子メカニズムの解析」

御子柴克彦博士は脳発育障害ミュータントマウスを用いたユニークな研究展開により、まず世界に先がけてIP3受容体の一次構造決定に成功した。これにより細胞内のCa2+波やCa2+振動を起こす小胞体のCa2+チャネルとして、IP3受容体が初期発生のみならず、脳の発生・分化や高次機能に必須な役割をしているなど多くの新しいコンセプトを確立した。さらに神経の誘導・分化に関わる機能分子やニューロンの脳内位置を決定する分子を次々と発見し、世界をリードしている。これらの研究は従来のコンセプトを変え、脳の発生・分化の理解、脳障害発現のメカニズムの解明に大きく貢献した。

略歴

<学歴・職歴>

1969年3月
慶應義塾大学医学部卒業
1973年3月
慶應義塾大学大学院医学研究科(生理系生理)修了
医学博士を受く

医学賞受賞者一覧